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入学式から数日後。
「あの……あなたが楢橋さん?」
廊下を歩いていると、野々花さんに声を掛けられた。
「あ、うん。どうかしたの?野々花さんだよね?」
緊張しながらも、なんとか言葉を返す。
「西原さんが、何か楢橋さんが私に御用があるって言ってたから……」
彼女の口から、そんな言葉が漏れてきた。
……慎二の奴か。
「……そうなんだ」
何を言えばいいのか分からず、そんな事しか口から出てこなかった。
その時、休み時間の終わりを知らせるチャイムが鳴り響いた。
「あっ、お話しできませんでしたね。よければお昼、ご一緒しませんか?其のときにゆっくりとお話ししましょう?では、また後程」
彼女、野々花さんはそう言い残して、自分の教室へと消えていったのであった。
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