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流雨は八年前のあの事件の記憶がない。それなのに夢で偶(タマ)に魘(ウナ)される。
後で聞いた話だが、事件の惨状はそれはそれは酷いものだったらしい。
―想像もつかないほどに。
その惨状を七歳にならない子供が見たのだからトラウマになっても仕方のないこと。
現に流雨にはトラウマで、今も時たま発作やヒステリーを起こす。
夢に魘されるのもその一部なんだろうけど。
流雨は親しい誰かと寝ると安心できるらしい。夢に魘されることもない。
「流雨…」
今度は俺たちが側に居るから。
安心しろ、お前の不安は俺が取り除く。
頼むからもっと頼れ。
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