♯のらねことのそうぐう

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のらねことの出逢いは、桜が咲き始めた3月のよく晴れた日のことだった。 『おはよーリン!き、聞いて…どうしよう』 かったるい1限の授業に向かおうと、あくびをしながら歩いていた大槻 凛(おおつきりん)に朝からヒステリックな声をかけたのは、親友の山本 楓(やまもとかえで)だった。 「うるさい、うざい、きもい」 凛はチラリとだけ楓に目を向け、暴言を吐いた。 『今日も絶好調に毒舌ね…そんなことよりリン!アタシやったよ。人生の勝ち組へと生まれ変わったよ!』 ふがふがと鼻息を荒らげながら話す楓を見て、イラ立ちを通り越して思わず笑みが浮かんでしまう。 「うん、まず落ち着け。何が起きたか順を追って話せるかな?楓ちゃんもう21歳だもんね?出来るよね?」 親戚の子供をあやすように楓に問いかける。 『えっと…今大人気のバンドと言えば?そうです、WILD CATSです。なんとリン氏…聞いて驚け!見て笑え!ライブのチケットが取れたぁぁぁぁぁー!やぁぁぁー!幸せすぎて死ぬー!助けてー!』
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