プロローグ

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「みなさんご入学おめでとうございます。この度は──」 述べ全校生徒600人。 多少誤差があれど、単純計算をすれば1学年におおよそ200人である。 その約200人が一斉に同じ屋根の下、つまり体育館に集まれば、それはもう暑苦しい。 その少年は汗っかきであった。 だからいつもポッケには、某(それがし)のブランドのハンカチを忍ばせている。 「──以上で、第82回入学式は終わりです。 明日は説明会がありますので、貼り出された各々(おのおの)のクラスへ行ってください」 出口に近い生徒郡から立ち上がり、ぞろぞろと機械的に退室していく。 出口をくぐった瞬間、水を得た魚のように生徒たちは活気を取り戻し、これから一緒に勉学や青春を共にする友達と最近のドラマや流行りのことについて話始めた。
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