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彼は十六夜の月の輝く夜に
人気の無い野原で
泣いていたという
幼い彼の手には
血で汚れた小刀が握られていた
傍らにはかつて名を馳せた
遊女の亡きがらがあったという
彼は泣きつづけていた
母を、父を目の前で殺され
何も出来なかった彼は
喉が嗄れ、涙が涸れるまで
ひたすら泣き叫んだという
泣き疲れ果て
野に生える一本松に
力無くもたれる少年は
一人の侍に拾われたという
そしてその者は
【十六夜 刃】[イザヨイ ヤイバ]
と名付けられた
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