【第一話】『十六夜』

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女の子を外に待たせて ブレザーを羽織る 弁当のゴミをごみ箱に捨て リュックを担ぎ外に出る 女の子は壁に背をもたれて 俺の登場を待ちわびていたようだ 特に女の子に何かを言うでもなく 俺は無言で鍵を掛け 階段を下りる コン、コン、コンと 階段を下りる音が響く 下り切ると 置き去りにされたのに 気がついた彼女は 俺よりも早く コン、コン、コン、コンと 慌ただしく音を立てて 下りてきた さすがに置き去りは 可哀相か… などと頭の隅で考えても 女の子に謝罪もしない 二人とも無言のまま 学校へと向かい始めた
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