空前絶後

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時期は十一月、これから厳しい冬が到来しようとしている頃だった。 ここ、黒滝学校の校門ではなぜか1人の生徒と先生が言い争いになっていた。 「先生!やっぱりこれは仕方のないことですよ!!」 「ダメだと言っとるだろうが!」 先生の方はなかなか若く三十にもなってないぐらいの男だった。しかし論点がわからない、何を言い争う必要があるのか? 「今日の新聞、天気欄みたんですか?!あれ見たらもう仕方ないとしか言いようがありませんよ。」 「ダメと言ったらダメなんだ! 手袋とかの防寒具着用は厳寒期の12月から、まだ12月まではし10日あるから我慢しろ。」 なんと小さな揉め事であろうか、お互いそんな些細なことで喧嘩するとは。 そのうちに先生がなぜ厳寒期の間だけしかダメなのかを熱く語り始めた。が、それもすぐに遮られることになる。 「いいか?だいたい防寒具なんぞに頼ろうとするやつは身体がなってない、だからこそ…「お、蓮!おっは~」 「おぅ、おはよ~」 そう、先生と口喧嘩をしているのは斎藤蓮という名前だ。 これといって特に特徴はない、あるとすれば少し顔が整っているぐらいだろうか? そんな蓮が友達との挨拶で軽く説教を遮ってしまったせいか、先生の方は怒り爆発寸前である。 「おい、こら君!聞いてるのか?!」 「今日は妥協しときますよ、先生。」 蓮はもうさっきまでのことはどうでもいいかのように黒滝学校の中へと入っていった。
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