夜のお茶会

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 お父さんとお母さんは高校の時知り合って、20になって結婚した。その翌年には子供が生まれたから、18歳の子供の両親と言っても、まだ若い。2人はいつまで経っても仲が良くて、愛をこめて子供を育ててくれた。体は5体満足で生まれてきた上に、容姿は母親に似て綺麗だとたまに言われるぐらい。頭もそこそこには良くて、両親に十分に愛されて育ってきた。普通といえば普通だが、文句なんてなんの付けどころもない、平凡で幸せな人生。  それなのにどこか、自分に孤独を感じてしまう。どうしてか……いくら考えても分からなかった。幸せに過ごしていても、ふと不安になって、たまらなくなって…。どうにかして、と心を苦しめた。苦しくて苦しくて、心を埋めてくれるものなら何でもいいとがむしゃらに手を伸ばして―――……掴んだモノの中身は空っぽだった。それが更に、自分を傷付ける。  意味がないから止めなくてはいけないと思っても、手を伸ばす事は止められなかった。掴んでは傷付いて、傷付いてはよけいにがむしゃらになって、の繰り返し。  自分の事が好きだけど嫌い。そんな、生活。一番ひどい時は、自分は二重人格じゃないのかと疑うほどだった。  今の自分は、自分の気持に鈍感になっただけでしている事は変わらない。  今ではもう、自分が何をしているかも分からなくなってしまった。  眠って目が覚めたのは3時過ぎだった。お腹が空いて、冷蔵庫に入っているもので適当に作る。しん、とした空気に、テレビをつけてからご飯を食べ始める。けれど、内容のない番組に、目を向けてはいるが見てはいなかった。  今日は土曜日。今は昼過ぎ。サト君は寝てる時間。……夕方まで、私は一人だ。  大きな溜息をついてテレビを消した。内容のない笑い番組は、余計に心を白けさせる。ベランダのガラス戸を開けて、晴れ渡る青空を仰いだ。  空気はまだ寒い。けれど降りかかる太陽の光で暖かい。  ふと思い付き、ホットコーヒーを入れたマグカップと煙草類を持ってベランダに出た。人が5,6人は座れるぐらいの広さはある。部屋の中に紫煙が入らないようにきっちりと閉めて、ベタリと地面に座った。部屋の中で吸うと匂いが付いてしまうため部屋の中では絶対に吸わないと心に決めている。だが、ベランダぐらいならいいだろう。わざわざ部屋着を着替えて外に出るのも面倒くさい。
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