_朱雀

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『・・カケルッ』 辛そうに俺の名前に叫ぶ、緑色の瞳をした彼を抱きかかえて俺は炎の中を飛び出した。 どうやったのか分からない。 気が付いたら、空を飛んでいた。 背中には真っ赤な羽をつけて‥腕の中には紅色に染まった少年を抱えて、月に向かって飛んでいた。 ーバンッ 背後で何かが爆発した音が聞こえた。 後ろを振り返ると、炎がfireを包んでいた。 ただただ、真っ赤な炎が家を村を燃やしてゆく。 街が暗い中、火花を散らしながらfireだけが紅く光っていた。 『"キレイダ。"』 不覚にも、俺はそう思ってしまった。  
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