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Side.百合(ユリ)
ある程度話し終わると、優は黙り込んでしまった。
「朱雀‥」
将くんは四神の一人なのか。
確かにTempestの中でもリーダーと将くんは圧倒的に強い。
ちょっと待てよ、四神の将くんと同格に戦えるリーダーは一体何者なんだ?
ーガチャ
突然開いた扉から顔を出したのは、将くんだった。
全部聞いてたのか‥
「マサ、久々だな。」
「朱雀様‥!」
あぁ、本当に朱雀様は将くんなんだ。
信じられない。
そして将くんは優の目の前までくると、両膝をついて土下座の体制になった。
「マサ、すまなかった。」
そう言って深々と頭を下げた。
「‥朱雀様?」
「お前の両親、兄弟、村の仲間を殺したのは俺なんだ。お前のことも死の手前という重傷にさせた。本当に悪かった。」
なんだよそれ、将くんは仲間を裏切ったのか?
「俺朱雀に飲み込まれて‥気が付いたらマサ、お前を殺しかけてた。」
「将さんが村を壊したってこと?」
ずっと黙っていた和葉が少し口を挟む。
「あぁ。」
そんな‥
自分が育った、優が育った大事な村なのに。
それを自ら破壊させるなんて。
「俺は‥
優になら殺されていいと思っている。
いや、優は俺を殺すべきだ。
俺は優の全てを奪ったんだ。
優、俺を殺せ。」
「出来ないよ、将ちゃん。」
優の答えは‥
「だって、将ちゃんは仲間だもん。
優もマサも‥将ちゃんのこと大好きだもん。」
そう言って、優しい笑顔を見せた。
「マサ‥お前は優しすぎるよ。
本当に
ーーーーーありがとう。」
そう言った将くんは瞳から綺麗な一筋の涙を流していた。
俺が将くんの涙を見たのはそれが初めてだった。
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