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あの事故から4日間が過ぎていった。
私の怪我は順調に治っていく。
それでも消えない傷もあった。
加害者の遺族が私に対して謝罪しに来た時だ。
加害者は3人家族で、5歳になる娘と母親は必死に謝り続けた。
夫が申し訳ありませんでしたと、何度も何度も頭を下げ、目には涙を浮かべて、時おり床に落ちていく。
「私のことよりも旦那さんのことをしてあげて下さい。私は生きてますから…」
悲痛な頼みだった。
二人は病室から立ち去ると、二度と来ることはなかった。
最後に娘がぽつりと言った言葉が忘れられない。
「父さんは死んだのに、どうして貴女は生きてるの?」
慌てて母親が謝ったが、娘の瞳には憎しみの感情が浮かんで消えることはなかった。
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