神原 麻奈 かみはら まな

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ある日、私は飲み会に参加した。 私の退院祝いらしい。 場所は会社近くの居酒屋。 古びた店には客が寄ってこないのか、がらりとしている。 ビールで乾杯した後、上司から質問を受けた。 「それにしても、よくあれで済んだな。麻奈君はとても運がいいのだろう。ところでだ、君はあの場で何かに会ったのかい?医師か誰かに応急手当てでもしてもらったのか?」 騒いでいた他の人も興味があるのか、その場はしんとした静寂に包まれる。 まさか死神に助けてもらったなんて言える訳もなく、適当な嘘を言うと、上司は満足してビールを飲んでいた。 私にも酔いが回り、つい饒舌になってしまい、あのことを言ってしまう。 「私はあの場で死神に助けてもらったんですよ。」 皆が冗談だと思って笑った。 「契約を破りましたね。」 冷ややかな声が響き、私の後ろに彼は居た。 私がおそるおそる、振り返ると、彼は身の丈ほどある鎌を持っている。 皆にも彼が見えているようで、ざわざわと話し出す。 「神原麻奈さん、契約違反によって、あんたの命、あっしが消させてもらいやす。」 上司の一人が立ち上がり、彼の鎌を奪おうとするが、彼はびくともしない。 「この場の皆さんも聞いてはいけないもんを聞いてしまいましたね。あんさんらの命も頂きましょか…」 彼は私に向かって鎌を振り上げると、そのまま何の狂いもなく、振り下ろした。 「やれやれ、この人もですか…これで何人目やろか?」 居酒屋の中は飛び散る血で溢れ、神原麻奈の他にも数名の命が消えた。 「まあ、あっしは勤めを果たすだけですから。」 彼は鎌を肩に置くと、そのまま消えた。 ……速報をお伝えします。 今日、12月4日に居酒屋で男女数名の遺体が発見されました。 居酒屋の中は見るも無惨になっており、警察は大量殺人として犯人の行方をおっていますが、特定は出来ていないようです。 被害者の中には神原麻奈さんと思われる遺体もあり、警察は7ヶ月前に起きた事故との関連を調べているとのことです。 以上、速報をお伝えしました。
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