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ある晩の豪雨の中、俺は弟を背負い走っていた。
肩、背中にのしかかる幼い弟の体重。
雨により地がぬかるみ、更に体力が奪われる。
6歳の俺には、1歳の弟を背負うには厳しかった。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
俺は一度立ち止まり、後ろを振り返る。
「まだ……大丈夫だ」
ここで見捨てる訳には行かない。
それに、もう戻る町は無い。
俺達の面倒を見てくれた孤児院も潰された。
院長も、兄弟の様に育った友達達も皆……死んだ。
町全体が滅びた。
いや、滅ぼされた。
だから、奴らから逃げないと。
奴らは追って来る。
だから俺は再び走った。
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