まもりたいあさ

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「じろ。今日はおそくなっから。」 「ん、わかった。気を付けて」 いちくん、いってらっしゃい。 無事で帰ってきてね 今日も兄弟の朝食と弁当を作りながら、いち兄とじろ兄のやり取りを耳に入れる。 バタンと閉まったドアに向かってそっと呟かれるその言葉は、 毎日皆のために早起きして頑張る俺だけが聞くことを許される、じろ兄の心の願い。 どうか無事で。 急いで帰ってこなくたっていい。命あるその姿で、 ただいまと笑顔を見せて欲しい と。 「じろ兄、さぶ兄としろ、起こしてきてくれる?」 「…ん。」 いち兄を見送ってすぐは、口数の少ないじろ兄。 こんなじろ兄を見られるのも、俺だけの特権だ。 今日の朝食は簡単に。 パンとハムとソーセージ コーンスープとヨーグルト。 いち兄の食べ終わった食器を下げて、4人分を新たに食卓へ運ぶ。 お弁当を間違えないようにそれぞれの袋に詰めたところで 静まっていたダイニングからは声が溢れてきた。 「ごろちゃん、おはよーっ!」 「五郎、おはようございます。」 寝癖を爆発させた髪を頭に置き、にこにこと笑顔を振りまくさぶ兄と、 じろ兄の腕に捕まりながら、まだ半分も開いてない目をこする四郎。 「2人ともおはよう。 さっ、飯食っちゃおっ。」 皆を促して1日の栄養源を、詰め込みにかかる。 「さぶ!おまえ食いながら話すな! しろ!ちゃんと起きろ。 ヨーグルトとパンは必ず食えよ?」 この時間になってしまえば、いち兄の弟から 俺達のかあちゃんに変わるじろ兄。 「ごろ、今日もめちゃくちゃうめぇぞ!」 じろ兄が溜め込む思いを俺は一緒に背負ってあげたいと思っていた頃もあったけど、 それにはまだ俺はあまりにも子供で。 力不足で。 そしてなんと言っても、 じろ兄の隣には、常に弱い部分を補ういち兄という存在がいて。 どんなに背伸びをしてもその存在の代わりにはなれないと知った俺は、 せめてあの朝の少しの時間を、大切に守りたいと願ったんだ。 end じろくんが好きで、でもいちくんには敵わないって ちゃんと理解してるごろくん。 自分ができるやりかたで、 じろくんを守りたいと思ってるんですね。 山夫婦って、いちゃいちゃラブラブってよりは 背中合わせにお互いの体温を共有できてるだけでいい って感じがします。
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