229人が本棚に入れています
本棚に追加
ケンちゃんの後に私もお風呂に入り、洗面所でドライヤーで髪を乾かす。
頬がほんのり赤いのは風呂上りだからだろう…
鏡に映った自分の顔が恥ずかしくてそそくさと洗面所から出た。
居間の電気はまだ点いていているがテレビの音がしない。
障子をそっと開けて覗くと、ケンちゃんが電気をつけたまま布団の上で大の字になって眠っている。
…ほんと自由だな、この人は。
そっと部屋に入り、電気のスイッチに手をかけようとすると
「……だ」
ケンちゃんがくぐもった声で寝言を言った。
ぷっ
可笑しくて口元を両手で押さえながら、ケンちゃんが起きないように忍び足で近づく。
「大丈夫です」
今度はハッキリとした寝言を話すケンちゃんの隣で腹を抱えて笑う私。
「それは無理です」
何を断ってんのよ、と突っ込みたくなるのを口を押えて我慢する。
ムニャムニャと口を動かしながらお腹をポリポリと掻いているケンちゃんの寝顔が可愛くてたまらない。
指先でケンちゃんのほっぺを軽く押してみると、すぐにしかめっ面になり虫を叩くように自分の頬を平手でペチっと叩く。
ぶふっ、楽しい!
調子に乗ってケンちゃんの顔のあちこちを指でつまんだり押したりして遊んでいると、いつの間にか私もケンちゃんの隣に寝そべった形になった。
ケンちゃんの横に並んで寝るなんて小学生以来だ。
眠っているから腕を振り払われることもないだろう…
そっとケンちゃんの方へ体を寄せ、日焼けして浅黒く筋肉質な腕に手を伸ばす。
腕に触れた瞬間「…んん」とケンちゃんがこちらに寝返りを打ち、目の前にケンちゃんの寝顔。
あ…、と思った時には閉じられていた瞼がゆっくりと開きボーっとした瞳で見つめられる。
最初のコメントを投稿しよう!