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「…ル」
「…ハル」
どこからか私の名前を呼ぶ声が聞こえ、閉じていた目をそっと開ける。
「ハル、どうした?」
そこ居たのは私の大好きな人。
「…ケンちゃんの夢…見てた…」
彼の顔をボーっと見ながらそう言うと口元を緩めたケンちゃん。
「泣きながら寝てたぞ、どんな夢だよ」
指先で私の目尻を流れていった涙を拭いてくれる。
「内緒」と答えると、ケンちゃんが頬をつまんでくる。
その手を両手で握り、その手のひらにそっと頬擦りする。
少し驚いたケンちゃんを見つめ上げ
「ただいま、ケンちゃん」
そう言うと、彼は「何を寝ぼけた事言ってんだよ」と噴き出した。
「ケンちゃんに言ったんじゃなくて、夢の中のケンちゃんに言ったんですー」
恥ずかしくなって頬擦りしていた手をパッと離すと、ケンちゃんが肩肘を立てて私の顔を覗き込む。
天井の電気がケンちゃんの影で見えなくなったと同時に唇にキスを落とされた。
そして顔を離したケンちゃんが「何か分からんけど、おかえり」と笑い、再びキスをした。
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