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「ハルー!澤村さんちにおつかいに行ってきてくれない?」
私、市川春子。
この町の人からは『ハル』『ハルちゃん』と呼ばれている。
姫島町の中で一番海の近くにある小さな民宿『潮風』の二女。
3つ上に『百合子』という町で美人と評判の自慢の姉がいる。
夏の残暑が厳しい9月。
窓の外は憎たらしいほど晴天で、青い空が海に映り波がキラキラと輝いている。
私は夏休みに遊びすぎて提出できなかった宿題をするため、二階の部屋に籠って貴重な土日を棒に振っている真っ最中。
そんな中、お母さんが私におつかいに行くよう頼んできた。
「行く行く!!」
いつもなら嫌がるおつかいも、監獄に入れられている気分だった私は、出所できる囚人のように喜んだ。
階段を駆け下りて、民宿の裏口から外に飛び出す。
「やっぱりシャバの空気は気持ちいいわ~!」
外の生ぬるい潮風を思い切り吸い込んで、体を「遊びモード」に切り替える。
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