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そう言って頬から手を放し、腕を抱える様に絡めると微笑みを浮かべた。
「真名を忘れてなお、言霊で我を縛るかよ。」
クックと彼女はまた楽しげに笑った。
満面の笑み。
しがみついているのかぶる下がっているのか分からない様に組まれた腕。 透き通る様に白く、細い手足。
微かに香る彼女の匂いが、記憶の中の懐かしさと切なさを呼び起こす。
「久しくて心地よい。いい男に育ったのぉ、陽」
それが彼女との再開だった。
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