幼馴染み

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「サフそっち側だったんだな」 「そっちと言われてものぉ」 いたずらげに笑った顔を見ると確信犯で間違いなさそうだった。 「見えない側だったんだな」 現世の者ではない何者か達は、多くの人にとって見えず、触れず、存在してないも同然のもの達だ。 全然気付かなかった。 改めてサフの手を確めてみる。 組まれた腕をさすってみたがさっぱり違いが判らない。 「これこれ、嫁入り前のおなごに触りすぎじゃ」 「実体が無いとは思えないさわり心地だし」 さっきまでの緊張感が薄い。 サフが人で無かったからなのか、彼女がごく自然に腕を組んで来る事に麻痺したのか判らないけれど 何かの位置が少しずれて、心を縛る枷が溶けた。 「なんじゃまじまじとみて、惚れたか」 惚れる。 多分心は当に動いていて、 人でないものに感情が生まれていることに変だと否定しつつも、生まれているから否定が必要なのだと知る。
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