思い出

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現れるなり塞がれてしまったバス停へ行く道を諦め、山の向こう側へ抜ける為、木々の中に突っ込む。 「陽の足では追い付かれるの」 分け入ってすぐの事、 サフの手が喉元に当たり、押し込まれた感じに急にバランスを崩した。 「うわっ」 天地がひっくり返った後、思わず叫ぶと、来るはずのひどい痛みに腹に力がこもったが。 裏切るようなフワッとした感覚。 変な加速と浮遊感。 ギュッとサフに抱きしめられたと気付いた時にはまさかのお姫様抱っこ常態。 「ちょっと」 風が後ろに向かって押し流されていく。 背こそそれほど変わらないが、少女と言って良いほどの細腕。 華奢な体で楽々と担ぎ上げ、木々の合間を疾走する。
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