プロローグ ~Liberate~

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プロローグ ~Liberate~

 立ち込める煙、崩壊した壁、燃え上がる炎。今にも崩れ落ちそうな建物の中に一人の少女が佇んでいた。  少女の周囲には、壊れて、火花を散らしている何かの機器や、燃えしまい灰へと成りかけた資料が、ヒトの肉塊らしきモノと共に散乱している。  「建物」は何かの「施設」のようであった。施設内には、切り裂かれ散り散りになった白衣が、多量の塵と共に舞い上がっていた。  少女の手には、黒い髪の毛が握られ、その下には人の「頭」がぶら下がっていた。  少女の足元には、本来「頭」がついていた筈の肉体が無造作に横たわり、首からは、血がとめどなく流れ出でいる。  少女の手にする「頭」から漏れ出し滴る血液も相まって、少女の足元には、特大の血だまりが拡がっていたが、少女は、特に気にする風でもなく、手にぶら下がった「頭」を見下ろしていた。  その時、突然、建物全体に不気味な音が走った。ガタンガタンと何か重い物が連続して落下し、その振動が床上の血の池を震わせる。それと同時に、大きな爆音が周囲を揺るがし、何処かの壁の裂け目から炎が噴き出した。瞬間、熱風が噴き抜け、周囲の残骸を巻きあげた。
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