プロローグ ~Liberate~

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「頭」は、何事か呻いたようだが、少女は微動だにせず、ただ、その頭上を見下ろしていた。  少女の表情には、悲哀も慈悲も(恐怖さえ)何も無かったが、何かを考え込んでいる風であった。  やがて、少女は、「頭」を持ち上げ、顔の前まで動かした。そして、それを両手で抱えるように持ちかえると、少し上に掲げ、顔を近づけ、そのまま、それの首の断面に接吻をした。  その光景は、傍からみると、少女が、頭だけのヒトの根元から、血を啜っているようであったが、実際は違った。  少女は、ソレに何かを注いでいたのだ。  彼女らの周囲は、いよいよ破壊の足音が強くなり、絶え間なく爆発音や金属音が鳴り響いていたが、その中でも、行為は続いた。  やがて、その行為は終わり、少女は、ソレから、口を離す。そして、その頭を抱え、吹き荒れる熱風の中、少女は何処かへと旅立った。  後に残るは、火の手が回り、建築物全体にヒビが入った倒壊寸前の謎の施設。後に起こる事件の全ての元凶であるこの実験施設は、彼女らの脱出の数分後に起きた爆発により、完全に崩壊し、灰塵と化した。
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