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自分以外の足音に気付いたワンピースの少女は、一度立ち止まり勢いよく振り返った。しかし、ワンピースの少女の視界には誰もいない。安堵の溜め息を漏らし、また走り出そうとすると何者かがワンピースの少女を押し倒した。
「ひゃっ!?」
「悲鳴は上げちゃダメだよ? 今のはセーフだけど、大声出したら喉噛み千切るから」
ワンピースの少女はやや甲高い悲鳴を上げた。幼い少年のような声がワンピースの少女の聴覚を刺激する。
雲が月の光を遮り、暗がりでよく見えないが、言葉からして押し倒した人物が殺人鬼なのだろう。ワンピースの少女の腹部に座り込んで両手首を地面に押さえつけて拘束しているようだ。
「や……離、して」
「それは無理だよ。君を帰してもボクに得が無いし」
「まだ死にたくないっ……!」
「そんなに怯えないでよ。ボクがすっごく悪い人みたい」
怯えきっているのか、抵抗は弱々しく今にも消えそうだ。そんな様子を楽しげな雰囲気を醸し出す殺人鬼は明るい声色でワンピースの少女に囁きかける。出された選択はたったの二つ。
「君はさ、今すぐ食べられるのとじわじわ食べられるの、どっちがいい?」
どちらを選んでも、ワンピースの少女は地獄を見ることになるだろう。そんな選択を選ばされているワンピースの少女は、一つの選択肢を選びとった。
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