空白の夜

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  「君ってば本当に酷い。これは君を食べなきゃ心の傷は治んないね!」 「黙って」  ワンピースの少女が右足で殺人鬼の頬を蹴ろうと凪いだ。しかし、肉同士がぶつかるような音はせず、殺人鬼は素早く後ろに下がる。が、間髪いれずに殺人鬼の足元から白い布のような物が飛び出した。だがこれも殺人鬼が右へ飛んだ事により空振り。   「貴方は鼠かなにかかしら?」 「通りすがりの食いしん坊さんでっす!」  怒気が籠るワンピースの少女の声を一笑するかのようにふざけて返す殺人鬼。このまま続けても意味などあるのかと思うくらいに事態は進まない。結局、距離を取りつつの問答が始まった。 「ボクを捕まえて意味があるの?」 「これ以上無駄に人は減らないわ」 「君達が家畜なんかを食べるのとおんなじなんだけどなぁ。畜殺した牛や豚なんか食べてるでしょ?」 「残念だけど私は肉が食べられないの。だからそんなの知らない」 「ベジタリアンは体に悪いよ!」  一人、殺人鬼は納得する。殺人鬼の目の前にいるワンピースの少女はあまりにも細く不健康そうだ。日中なら陶器のような白さを見せている肌は夜間になると血の気が失せ青白く映った。  そして殺人鬼はワンピースの少女へ問い掛ける。  
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