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ぴりぴりとした、不快感を感じさせる雰囲気で黒ローブの人物が応接間から出ると、青髪の青年が待っていた。黒ローブの人物は青髪の青年を一瞥すると屋敷から出ていこうと足を進めたが、青髪の青年は肩を掴み引き留める。
「外行かない方がいいと思うんだけどー?」
「こんな場所に居たくない」
「それは俺も同感だけどさ、外行っても意味ないと思うわけよ」
青髪の青年はへらへらとした笑みを浮かべるが黒ローブの人物にとってはそれすらも不快なのか、荒々しく青髪の青年の手を振り払う。青髪の青年はそれをなんとも思っていないのか、相変わらずへらへらとした笑みを浮かべ続けている。
そのせいか、黒ローブの人物は口元をへの字に曲げ、棘の感じられる雰囲気を作っていた。
「信用出来ない。だが仕事はこなすよ」
「そういう問題じゃない。俺らを生け贄にするつもりは無さそうだぜ? 入ってた薬物って睡眠誘発剤だし」
どうやら葡萄ジュースに何かが仕込まれていたらしく、そのせいで不快感を露にしているようだった。
「それでも薬を盛られたのは事実。不愉快」
「ちょっとした気遣いだろ? ゆっくり休んで英気を養っておいてくれ、なんて言ってたし」
「そんなに単純な頭をしてないから」
「その言い方だと俺の頭が単純だみたいな事になるんすけど!」
「違うの?」
「違うわー!」
ふざけたように叫べば、仕方ないと言わんばかりの苦笑いを作り応接間へ入っていく青髪の青年。黒ローブの人物は応接間へ入っていった青髪の青年の後ろ姿を見つめた。
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