銀の森に憩う月

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《私は月》 私は月の様に ただ其処に在るだけの存在 誰かの心を照らせたならば それだけで幸福と言えるでしょう 始まりの都市は軈て 人の生む闇に呑まれ 同じだけの光にも 恵まれる事でしょう その時 私が何処に在っても それは私自身の 意志であるでしょう 老いた舟は 安らかなる言葉を待つ 辿り着いた死者は 安らかなる許しを待つ 其処に有るだけの物を持って 旅立ちましょう 光と闇が等しく降る 世界の糧となる日まで 私は月の様に ただ気儘に流れるだけの存在 満ちては欠ける心の儘に 眸に映る全てを照らして
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