銀の森に憩う月

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《鏡の中》 鏡の中 虹色を帯びた幻想 落とした林檎を拾って 解けない魔法にようこそ 紅茶の水面 枯れた観葉樹が歌う 雨降る郷を懐かしみ 永遠の森へ還る日を夢見て 去る雲を追い 欠け行く月陰 新月の宵闇に隠れて 目覚める見えざる住人達 鏡の中 飛び込んだ彼女は戻らず その全てを花弁に変えて 世界中に降らすそうだよ 導くのが夢でも 神様の利き手でも 歪んだ鏡の奥で微笑む 帽子を被った道化師でも 遥かな丘に聳える古城 遥かに天の翼が集う処 物語を聴いてしまったら 幼い心を誰が止められる? 鏡の中 今宵も幻想に囚われた魂 あなたは戻って来れるかしら? 隠れた月は素知らぬ振り 全て虹色に煌めかす魔法 解けない世界へようこそ
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