銀の森に憩う月

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《宵闇に舞う漆黒》 深き眠りより目覚める 幻の様な黄昏の空の下 港に着く船は異国の馨り 何を求め来たかは知れず 太陽が近付く静かな夕べ 銀鐘の塔に羽を休める鳥 宵闇を纏う大いなる手が また街へ降り覆い尽す刻 私は闇に護られては眠らない 軽やかに夜を彷徨い 行く者 月の探す漆黒のショールに 世界の秘密の全てを隠して 人は謎を解き明かそうと発つ その手に鋭い剣を携えてまで 浅薄な知恵を持つ者達がまた 今宵もその手に掴もうとする なれど私は誰にも捕われぬ 誰も私を捕える事 叶わず 太陽がその輝きを取り戻す頃 此の身は光に融け眠りに就く 私は全ての理であり謎 人の頭脳が求めて止まぬもの 幾千の夜を舞い 幾千の昼に眠る
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