銀の森に憩う月

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《語り部》 星降る 砂上の 遺跡の 神殿 風凪ぐ 海辺の 流浪の 流木 雨打つ 屋根の 破片の 銃痕 全テ 見テタ 全テ 見テイタ 去る暮れ間近の 火に一つ くべる 語りの重さから 道 逝くだけの人 超えて 何処にも行けぬ人に為る 空の虹 辿る大気圏 空の誕生より 森の霧 辿る夜明け 朝の誕生より 山の石 辿る濁流 河の誕生より 草の種 辿る地表 風の誕生より 生まれ 初め 始まり 終り 全テ 見テタ 全テ 見テイタ もう一つと くべる御話 土と火と石の物語 乾涸びた祖の黒い眼に 映っていた筈の在り方 語り説く 全ての在り様 語り泣く 全ての去り様 語り継ぐ 全ての生き様 火を囲み 人を囲み 一人 また一人 輪は拡がり 集いて生まれる 秩序と混沌 砂上の 神殿 砂塵に 還り 流浪の 流木 深海に 朽ち 破片の 銃痕 歴史を 刻み 全テ 見テタ 全テ 見テイタ
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