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「1,2,3,4、プリキュアー」
「5! って何やらせんのよ」
「いやー出だしは大事かなーと思って」
「そういう大人な事情はいいんだよ」
「私、葛城真波、17歳! 今日から高校二年生☆」
「何故そんな美少女アニメの第一話みたいな自己紹介をはじめる」
「新学期は憂鬱。だって、先生の名簿確認でよく『かつらぎ』って呼ばれちゃうんだもん。その度に『先生。私、くずしろです』って言うの面倒なんだもん」
「名前の難しい人によくある、新学期あるあるだね」
「最初のほうは授業のたびに名前間違えられて、訂正しなきゃなんないの。はあ~…嫌になっちゃうな~。もう、まいっちんぐ☆」
「気は済んだかい? 真波」
「このアニメに出てくる黒髪美少女を明らかに意識している自意識過剰女は、友達の天瀬ミホ」
「その紹介は友達だと思ってないよね」
「高飛車で上から目線の嫌な奴だよ☆」
「お前私のこと嫌いだな? そうだな真波?」
「真波と出会ってから…そう…まだ一年しか経っていない…」
「そこは『もう一年たった』っていうところじゃないの?」
「あと二年付き合うことになるかと思うと、新学期より憂鬱だよ☆」
「そんなに嫌か」
「でも大丈夫! 真波なら頑張れるよねっ?」
「よし分かった。お前とは縁を切らせてもらう」
「冗談だってw何マジレスしてんの、ミホwww」
『美少女アニメの第一話ごっこ』をして遊んでいた真波は、隣を歩くミホの肩をばしばしと陽気に叩く。その手を鬱陶しそうな表情を隠さず払いのけるミホは、目の前を見て溜息を吐いた。
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