始業式

3/3
前へ
/3ページ
次へ
始業式はめんどくさい。だけど今日はラッキーだったかもしれない。 だって俺の隣には彼女がいたから。 朝、告白したばかりで美小山が彼女って感覚があまりない。 美小山は俺をチラッと見てから前を見る。 頼りないとでも思われたのか? 「えー、新しくきた先生方から挨拶を――」 始業式では新しくきた先生の紹介と挨拶はみんな興味津々。 特に彼女を含むソフトボール部は。 今年あった離任式で五年間顧問を勤めた伊東大和(40)が通信制の学校に飛ばされた。 そのため、ソフトボール部の顧問はいなくなって春休み中はずっと部員だけで活動。と美小山がメールで教えてくれた。 「えー、ソフトボール部の顧問を勤めさせてもらいます、神田敦です。担当科目は農業科です」 神田を見た瞬間、美小山は頭を抱えた。 九年間ソフトボールをやってきた美小山にはどんな指導者か目で分かるようだ。 こそっと美小山に声をかける。 「大丈夫?美小山」 「あ、うん。大丈夫だと思う」 "思う"って、返されると苦笑いしか出来ない。 「東山が心配することじゃないよ」
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加