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始業式はめんどくさい。だけど今日はラッキーだったかもしれない。
だって俺の隣には彼女がいたから。
朝、告白したばかりで美小山が彼女って感覚があまりない。
美小山は俺をチラッと見てから前を見る。
頼りないとでも思われたのか?
「えー、新しくきた先生方から挨拶を――」
始業式では新しくきた先生の紹介と挨拶はみんな興味津々。
特に彼女を含むソフトボール部は。
今年あった離任式で五年間顧問を勤めた伊東大和(40)が通信制の学校に飛ばされた。
そのため、ソフトボール部の顧問はいなくなって春休み中はずっと部員だけで活動。と美小山がメールで教えてくれた。
「えー、ソフトボール部の顧問を勤めさせてもらいます、神田敦です。担当科目は農業科です」
神田を見た瞬間、美小山は頭を抱えた。
九年間ソフトボールをやってきた美小山にはどんな指導者か目で分かるようだ。
こそっと美小山に声をかける。
「大丈夫?美小山」
「あ、うん。大丈夫だと思う」
"思う"って、返されると苦笑いしか出来ない。
「東山が心配することじゃないよ」
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