一章 転生前の一息

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「じゃあ次はスキルについて」 「あれ、魔法じゃないのか?」  八重瀬さんの口から出た『スキル』に首を捻る。魔法界に行くのにスキルなんて必要か? 「言っとくけど魔法界に行ったばかりの貴方は、魔法なんて何一つ出来ないわよ」 「え、そなの?」 「当たり前でしょ。魔力はそれこそあるけども、素人がいきなり魔法使える訳無いじゃない」  何だ、そうだったのか……折角あんなことやこんなことに、乱用しようと思ってたのに。 「だから初めの内はスキルで補ってもらうわ。何でも良いけど後にそれは、特性扱いになるからよく考えて発言しなさいよ」 「はい! じゃあ俺、『魔法を生み出すスキル』が良いです!」 「却下」 「何故!?」  何でも良いって言ったじゃんか! 「そういうスキルは後で自分の首を絞めるわよ」 「でも最強じゃん!?」 「ダメ」  キッパリと言われてしまえば反論出来ない。仕方ないそれじゃあ、ええと、 「『他人の魔法を覚えるスキル』は?」 「…まあそれぐらいなら」  よっし!と俺はガッツポーズをした。  他人の魔法をどんどんコピーしていけば手っ取り早く魔法が使えるもんな! 「あくどいわね」 「何とでも言え」 今の俺は、最・強! 「ちなみに覚えた魔法はその持ち主よりも使いこなせるってのは?」 「それくらいは修行しなさい。それより属性や魔力はどうする?」 「属性は全部、魔力はザ・最強! が良いな☆」 「……今答えるのが微妙にめんどくさかったでしょ」  何を言ってるんだこの人は。ハッハッハッ。俺は最強になる! その為なら手段は選ばない!  てかよくよく考えたら人じゃなくて神か。 「次の質問で最後よ」 「あれ、もう終わり?」 「すぐ終わると言ったでしょう」  話を聞いてなかったの?と、呆れ顔で聞いてくる八重瀬さん。……その目、微妙に心にササリマス…。 「じゃあ、最後よ。よく考えて答えなさい」  彼女は俺をジッと見詰めて、 「────特典は何が欲しい?」
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