一章 転生前の一息

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「特典?」 「ええ」 「必要か?」 「欲しければ、の話よ。無理に言わなくていいわ」  なんか急にアバウトだなー。特典なんか別にいいしー。 「いらないの?」 「ああ」 「別に特典という言葉に捉われなくても良いのよ。言い換えるならそうね、『願い』とか」 「願い、か……」 「向こうに行くに当たっての願いよ。スキルと違っていくつでも良いわ。でもまあ、最大でも三つぐらいに留めておいた方が良いかもね」  三つ……三つかー。俺の野望(大袈裟だが)を実現する為には三つじゃ足りないなー。まあ出来ればの話みたいだし、三つ以上言っても問題は無いか。  にしても願い、ねー……あ。 「向こうに行った時ってこのままからか? それとも赤ん坊からか?」 「──正解」 「へっ?」 「まずは向こうでの自分の年齢を気にすること。今までにもそれを気にせず行ったら赤ん坊からだった、とか多いのよね。言ってくれなかったら、こっちだって決めようが無いわよ」  あ、あぶねぇ…。危うく赤ん坊から始めるとこだった。精神年齢十六で赤ん坊はキツいからなー。しかも将来、今と同じ(実)年齢になったら精神年齢はオッサンだぜ?俺には耐えきれん。 「じ、じゃあ今の年齢から……」 「分かった。あとは?」  あと? あとは、うーん……。 「お金は?」 「それは向こうで説明する」 「一文無しとか止めろよ……?」 「当たり前でしょ。キャラをいきなり殺すようなマネはしないわ」  …ん?今なんか聞こえたような。ま、いっか。 「で、他に無いの? 無いなら締め切るわよ」 「いや応募ハガキじゃないんだから…」  いやー、でも困った。なるべく活用しないと、あとで後悔するからな。  どうしようどうしようどうしよう……そだ。 「パートナー付けてくれないか?」 「パートナー?」 「ああ」  やっぱ旅にはパートナーが必要だろ。一人じゃ寂しすぎるよ。 「だからパートナーもとい、サポーター。欲しい」 「別に良いけど。じゃあどういうのにするの?」 「えっ?」 「主人公? メイン? サブ? 使い魔? 何でも良いわよ。好きなのにしなさい」  どれもこれも良い。が、俺の好みには合わない。主人公でもメインでもサブでも俺はイヤだ。もっと普通か、普通からかけ離れた……そうだ。 「じゃあ、さぁ」
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