19人が本棚に入れています
本棚に追加
俺の名前は剣崎庄悟。
今年の春にめでたく高校生になった。
普通。平凡。地味。
これらの単語を具現化したような男。取り分けて頭が良いワケでも、運動が出来るワケでも、特技があるワケでも無い。
しかしそんな俺だが、たった一つだけ、普通でないモノがある。
それは『学校生活』に『環境』。俺は俗に言う『いじめられっ子』ってヤツだった。
何時からこうなったのかは知らないし、覚えてもいない。てか知りたくないし、覚えていたくもない。
理由もハッキリしたモノは分からない。
癪に障る、調子に乗ってる、ウザイ、……etc
どんな理由であれ、俺がいじめられるような人間であったには違いない。
そう、俺は異分子。
主人公でもなければ、ダークヒーローでもなければ、メインキャラでもなければ、サブキャラでもない。
モブキャラだ。
幼馴染みでもなければ、親友でもなければ、敵でもなければ、ボスでもない。
脇役だ。
モブにして、脇役。
それが俺の肩書きだ。
あくまでも今のは現実が二次元であったらの話であって、現実と二次元が混同した訳ではない。
人知れず溜め息を吐くと、いつの間にか人通りから外れてしまっていた。
慌てて戻ろうとするが…………道が分からない。
うわ、自分の街で迷子かよ。ハッズ!
辺りを見回してみるが人っ子一人居ない。何だ、この静けさは。不気味だ……。
しばらくキョロキョロしていると、遠くに人を発見した。
よく見るとコチラをじっ、と見ているような……。
思わず背筋に冷や汗が流れたが、今は家に帰ることの方が大事なので、恐怖を胸に閉まい訊いてみることにした。
近付いて見るとその人は女性。黒髪のロングヘアーで身長は俺より低い。彼女の顔は笑っているが微笑を浮かべている、と言うよりは貼り付けている、と言った方が正しい。
ちなみに顔はバカみたいに言うとメチャクチャ綺麗。利口そうに言うと傾城傾国。とにかくそれくらい、飛び切りの美人であった。
「あ、あのースミマセン」
勇気を振り絞って出した声は、少し震えていた。
しかし彼女は表情を変えず、無言のままだ。
暫し、沈黙。
……どうでも良いが、俺はこういった沈黙や間が苦手だ。
再度彼女に訊ねようとした時、
「────生まれ変わりたくない?」
「へっ?」
最初のコメントを投稿しよう!