序章 傷だらけの日常

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 俺の名前は剣崎庄悟。  今年の春にめでたく高校生になった。  普通。平凡。地味。  これらの単語を具現化したような男。取り分けて頭が良いワケでも、運動が出来るワケでも、特技があるワケでも無い。  しかしそんな俺だが、たった一つだけ、普通でないモノがある。  それは『学校生活』に『環境』。俺は俗に言う『いじめられっ子』ってヤツだった。  何時からこうなったのかは知らないし、覚えてもいない。てか知りたくないし、覚えていたくもない。  理由もハッキリしたモノは分からない。  癪に障る、調子に乗ってる、ウザイ、……etc  どんな理由であれ、俺がいじめられるような人間であったには違いない。  そう、俺は異分子。  主人公でもなければ、ダークヒーローでもなければ、メインキャラでもなければ、サブキャラでもない。  モブキャラだ。  幼馴染みでもなければ、親友でもなければ、敵でもなければ、ボスでもない。  脇役だ。  モブにして、脇役。  それが俺の肩書きだ。  あくまでも今のは現実が二次元であったらの話であって、現実と二次元が混同した訳ではない。  人知れず溜め息を吐くと、いつの間にか人通りから外れてしまっていた。  慌てて戻ろうとするが…………道が分からない。  うわ、自分の街で迷子かよ。ハッズ!  辺りを見回してみるが人っ子一人居ない。何だ、この静けさは。不気味だ……。  しばらくキョロキョロしていると、遠くに人を発見した。  よく見るとコチラをじっ、と見ているような……。  思わず背筋に冷や汗が流れたが、今は家に帰ることの方が大事なので、恐怖を胸に閉まい訊いてみることにした。  近付いて見るとその人は女性。黒髪のロングヘアーで身長は俺より低い。彼女の顔は笑っているが微笑を浮かべている、と言うよりは貼り付けている、と言った方が正しい。  ちなみに顔はバカみたいに言うとメチャクチャ綺麗。利口そうに言うと傾城傾国。とにかくそれくらい、飛び切りの美人であった。 「あ、あのースミマセン」  勇気を振り絞って出した声は、少し震えていた。  しかし彼女は表情を変えず、無言のままだ。  暫し、沈黙。  ……どうでも良いが、俺はこういった沈黙や間が苦手だ。  再度彼女に訊ねようとした時、 「────生まれ変わりたくない?」 「へっ?」
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