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「────転生することを、選ぶ」
強い意思で、強い気持ちで、ハッキリ答えた。
「それで良いのね?」
「ああ」
「後悔は?」
「しない。絶対、必ず」
俺は彼女の瞳を見て言い切る。
彼女もまた、俺の瞳をジッ、と見つめている。
暫く睨み合い、漸くと言った頃合いに彼女がふぅ、と息を吐いた。
「──そう。なら良いわ」
妥協か、了承か。俺には分からない。
だが、俺は断言する。この選択は間違っていない、と。
「それでは。貴方を転生させるわ。……ま、すぐまた会えるけどね」
「は?ちょ、おい──」
俺の制止も虚しく、と言うのも彼女が急に消えてしまったからだ。それもフッと。
不気味さを感じる通りに一人、立ち尽くしていると、
プップー!
と警告を示す、音が聞こえた。振り返るとそこには、一台のトラックが。
さっきまでいなかったのに。まあ、別に良いか。
そして端に避けようとした途端、
────ズキッ!
「ぐッ、ぁ」
突然の頭痛。思わずしゃがみ込む。そしてまるで金縛りにあったかのように、身体が動かなくなった。
ヤベェ、何だこれ。動かねぇ、てかマジイテェ。
無理にでも身体を動かそうとする。しかしびくともしない。
トラックは迫って来る。早く、早く。動かなければ。だが。
────パアァァァ!
トラックが最大の警笛を鳴らした。と同時にブレーキを踏んだ。だが間に合わず、
────ドンッ!
身体に重い衝撃が走った。宙に無防備に放り投げられる。
あぁ、死ぬんだな、と。柄に無く思ってしまい。
意識が暗転する前に。
彼女の声が、俺の頭に響いた気がした。
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