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そろそろ、何か前進したい。人生は長いのにいつまでも健二の呪縛に囚われていたくはなかった。 私は携帯電話をバッグから取り出した。電話番号を検索し、耳に当てる。 「はい、もしもし?」 何度か呼び出し音が鳴り響いた後、怪訝そうな声が耳に響いた。 「もしもし……美奈子さんですか?あの、悠里です……ご無沙汰してます」 私は緊張しながら口を開いた。美奈子さんは健二の姉だ。他県に住んでいる美奈子さんは、ほとんど帰省する事もなく、数回ほどしか会った事はなかった。
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