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我が家の安物カーペットは、安物の癖に結構頑張ってくれている。
もう十年くらいは経つんじゃないだろうか。
だから、自我を持ったとしても別におかしくないんだと思う。
「……よ、よし。分かった」
気紛れで願いを叶えに現れた神様がビックリしていた。
家族の誰よりも早く、カーペットが願い事を言うもんだから。
神様も僕らも心底ビックリしていた。
ふわりふわふわ浮かび上がり、窓をするするすり抜けて、カーペットは空高く飛んでいく。
「……」
カーペットが敷いてあった場所には、ペルシャ絨毯半額セールの古ぼけたチラシ。
あ、うん。
なるほど。
きっと、恋するカーペットさんはイランに向かって飛んで行ったんだろうな。
……初恋の相手は無理だとしても、その兄弟姉妹くらいには会えると良いけど。
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