PROLOGUE

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 おっと、そうだ。名前を名乗るのを忘れていたな。  俺は『北 瞬』《キタ シュン》と言う。 子供の頃、なぜ名前が二文字だけなの、と友達によくからかわれていた。  しかし、この名前は嫌いではない。むしろ好きだ。  名前の由来も聞いたからだ。  俺を育ててくれた人曰く、『一瞬一瞬を大切にしてほしいから』だと。 「はーい、じゃあ、今日の講義はここまで。明日は実技だから、戦闘着忘れないようにな。はい、起立」  俺は黒板の前で、指についたチョークの粉を軽く払って落としながら、言った。  同時に邪魔にならない程度まで伸ばした黒髪を触る。  また、それとともにこの教室の生徒は一斉に立ち上がり、室長が号令をかける。  所々で荷物を片付けながら立っている者もいるが、あまり気にせず室長は「ありがとうございましたー」と言った。  それと同時に授業終了のチャイムが高々と鳴った。 .
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