PROLOGUE

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 その封筒の上の部分をペーパーナイフで切り、その中身を取り出した。  中には便箋が二枚と一枚の写真のような物が入っているようだ。  先に写真を取り出し、それと同時に椅子に座る。因みに教職員室の椅子は結構柔らかく、座り心地がよい。  写真には一人の少女が写っている。  髪色は綺麗に光る金、肌は程よく白くて、胸元までしか写ってないためよくわからないが体型もよさそうだ。  ボムカットで、可愛らしい笑顔。とても活発そうな感じだ。 恐らく年は十代中盤から後半。うちの生徒ぐらいだと思われる。 「てか、なんでこんな写真が? 『文通始めませんか』ってか?」  なんか口に出してしまったせいで、周りの先生方に睨まれちゃいました。テヘ。  まあ、それはともかく手紙の方を読みましょうか。 ―――――― 拝啓、北 瞬 様。  晴天が続いた連休は終わりましたが、いかがお過ごしでしょうか。  さて、いきなり本題に入らさせて頂きます。  いきなりの手紙、大変驚かれたと思います。しかし、やむを得なかったのです。 私はとある団体の取締役を勤めております。そこではとある研究をしており、あなたに来てもらいたいのです。  なぜあなたに来てもらいたいかをこの紙面では書くことができません。国家機密なので。  しかし、もし来てくれるならば、このことをお教え致しましょう。絶対秘密厳守が約束ですが。  私どもから案内をそちらに送ったので、彼女についてきて下されば、我々の所に来ることができます。  彼女については同封の紙と写真で知ることができると思います。           敬具。 ――――――  なんだ?秘密って?  俺はこの一枚をざっと目を通してからそう思った。  便箋は封筒とは違い普通の白地のもので、字はとても達筆だ。  今時活字じゃなくて、手書きだ。  字うまいなー、なんて思いながら遠目で紙を見ると、うっすらと模様が見えた。  二本の鍵に四本の翼がハートを中心に描かれている。  なんのマークだ?  あ、そうだ。もう一枚も目通しとくかな。俺は封筒からもう一枚の便箋を出して、ざっと目を通した。  五分ほどで読み終わり、俺は仕事をやり始めた。終わったのは七時ぐらいで、そのまま帰路についた。  自室についたのは八時だった。
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