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「つーか、勝手に男の部屋に入ってなんかあったら、どうすんだよ?」
「大丈夫。やっつけちゃう!
って言うか、瞬くんはそんなことできないでしょ? 女の人襲うなんて」
律ははっきり言ってバカだ。
やっつけるって……ひ弱な女がそう簡単に倒せれたら最高だよ。
まあ、人を見る目はあるほうだと思うけどね。
「んで、なんのようで来たの?」
「話流すんだね。そんな酷い人だとは思わなかった」
「すまん。
所でなんのようで来た?」
「うん。こっちの話無視だね」
よし、かわいそうなので話を無視してあげよう。
「わかったよ。うん。瞬くんはそれだけ酷い人だと記憶しとくよ。
あのね、寂しかったから来たの。メールしても全然返信してくれないんだもん」
律はとても輝かしい笑顔で言った。もちろん前半の言葉も。
「メールの件はすまん。音楽の授業と違って俺のは一日に三・四時間しかない授業じゃないんだよ。」
俺の携帯に入っている普通の付き合い(そういう意味じゃないぞ)をしている女性のアドレスは律のだけだ。
あとは男友達が数人と仕事のだけ。
しかもメールなんて滅多にしないから、送り方もあやふやだ。
本文打って、送信押すだけだよな?
「まあ、いいや。なんか作って。瞬くんの料理っておいしいからさぁ」
「わかった。
……ってお前手伝いに来たんじゃないのかよ?」
「ううん。ご飯食べに来た。ついでに喋りに。そうだなんか演奏するよ。ギター借りるね」
律は俺の部屋のリビングに置いてあるギターを手に取って、茣蓙に座った。
因みに俺の部屋にあるのはクラシックギターだ。俺は根っからのクラシック人間だからね。
エレキとか嫌いなんだよ。騒々しい。
「じゃ、よろしく」
律は笑顔で頷き、その言葉と共に真剣な顔つきになり、演奏をし始めた。
律は様々な楽器を演奏できる、天才的な音楽家だ。しかもどれも結構うまい。
俺も律の影響でかクラシックが好きになった。そして一応楽器をやっている。ヴァイオリンとギターだ。
まだまだ律には到底届かないが、俺なりに楽しんで練習している。
俺は律の紡ぎ出す旋律を聞いて、リラックスしながら料理を始める。
まあ、律が来たことだし、あいつの好物でも作ってやるか。
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