1st 緑髪の君

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「今日はすごい数のお客さんが入ってるね~」 「ちょっと、手が回らないからあなたも一人受け持って!」 「あ!は~い!」 母親に頼まれた彼女は、件の患者さんのもとに向かった。 「こんにちわ~、本日はどうされましたか~?」 声を掛けられた20代くらいであろう男性は顔を上げると、突然固まったように彼女を見ている。 「あの・・・大丈夫ですか?」 「あ、ああ大丈夫。」 「で、本日はどういった症状で?」 彼女がやさしく笑いかけながら聞くと、男性は少し照れたように話始めた。 「実は・・・なかなか頭痛が治らなくて、医者に行ったら慢性の頭痛じゃないかと言われたので。ネットで調べたらお灸が効くとあったので、試しに・・・。」 「そうですか!それじゃあ治療を始めるのでシャツを脱いで、そこの台にうつぶせに寝てください。」 男性が支度をしている間に、彼女は母親に頭痛に効くお灸について聞いていた。 「それなら、裏にある3番の引き出しに入ってるわ。ちゃんと湿布をしてからやるのよ?」 「うん。お母さん、ありがと。」 それから5分後に、彼女は男性の元に戻ってきた。 「お待たせしました!それじゃ、始めますね。」 湿布を貼り、お灸を「つぼ」(皮膚の表面で治療効果のある特定の部位)に置き、火をつける。 その間に男性とたわいのない話をしたり、お灸の火が消えないように見張っていたり。 15分ぐらいで治療は終わり、お会計を済ませた男性を笑顔で送り出して、裏方に戻ろうとした時、 先ほどの男性が息を切らして戻ってきた。
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