1st 緑髪の君

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秋風が髪をなびかせる。 ふぅと、息を吐けば白い吐息が宙に投げ出され、それをまた、秋風がさらっていく。 季節は秋。 だんだんと寒くなるこの時期に、心躍らせる者が一人── 「ふふっ、今日はお給料の日だぁ♪」 緑色の髪と、紫の瞳の彼女は、足早に帰路に着いた。 「ただいま~」 玄関のドアを開けると、暖かな空気と、何かしらの良い香りが彼女を包む。 「あら、おかえり。今日はいつもより早いわねぇ。」 リビングに居た母親が、笑顔で彼女を迎えた。 「うん!だって、今日お給料日なんだもん!嬉しくってスキップしながら帰ってきちゃったよ~」 「ふふっ、あなたもお父さんに似てきましたね。」 「え~!?お父さんもスキップするの!?」 「ええ。学生の時にね、『今日は給料日だ~い!』とか言ってはしゃいでいたのよ?」 「へぇ~・・・って、今もそう言ってるよね?」 「あら?そうだったかしら?」 「そうだったよ~!」 そう言って、二人は笑いあう。 これが彼女たちの、日課であり、日常なのである。
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