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そこには、住宅街ではなく、青々とした森が広がっていた。
有り得ない光景に、少し動揺する。
なぜか足が自然と森のほうに動く。
「……なんだ……これ? うぉ?」
扉の閉まる音がして、後ろを振り返る。
「おいっおい、なんでだよ」
扉があったほうを見ると、先ほどまであった扉の変わりに、女が倒れていた。
慌てて当たりを見渡すが扉はなく、森が広がるだけ。
「……んっ、うぅ~……」
女から呻き声が聞こえて来た。
先ほどは、扉に取られて女の子をあまりよく見なかった。
ショートカットが可愛らしく、肌は焼けて小麦色だ。
よく見てみると、俺の知っている普通の服じゃない。
なんと言うか、民族衣装みたいだ。
服の生地は見たことなく、なんか鱗みたいなもので、森の木漏れ日を反射してキラキラと光っている。
「……みっ水ぅ」
服を観察していると、女から助けをもとめる声が聞こえてくる。
こんな森の中で脱水症状だろうか?
耳を済ませてみたら遠くに水の流れる音が聞こえる。
だがそこまで行くのがめんどくさい、赤の他人のために俺がそこまでする筋合いはない。
だけど、見殺しにするのは嫌なので、先ほど買ったアイスだったものを取り出す。
「お~い、飲ませてやるから口開けろ」
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