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口が開いたのを確認して、少し身体を起こして、ソーダ味のガリガリしたものが溶けたのを口に流す。
「……甘い、冷たい、美味しい!!」
先ほどまでぐったりしてた女は、目をぱっちり開き、俺を凝視してくる。
「全部飲む?」
青い袋を渡すと、がっついて飲み干す。
絶対、またあとで喉が乾くと俺は思う。
「……美味しい、もぅないの?」
「ないよ、それだけ」
一つしかないと伝えると、あからさまにしょんぼりしてこちらを見てくる。
ちょっと可愛いと思ってしまった。
「あの~ところであなたはどこの地区の方ですか? 見慣れない格好ですが?」
「地区? 墨田区だけど…… ここはどこ?」
「……スミダ地区? ここは集合の森ですよ?」
「集合の森? どこ? 東京都のどこにあるの?」
「トウキョウト?」
お互い頭にはてなが浮かぶ。
「とっとりあえず! 自己紹介しようか! 俺は、加藤 好隆(カトウ ヨシタカ)」
「長い名前ですね! 私はアルトです」
「んっ? 苗字は?」
「ミョウジ?」
お互いまた無言の時間が続く、なかなか気まづい。
「アルトさんは、なんで倒れてたの?」
「アルトでいいですよ? ちょっとヒルに噛まれてしまって」
「俺も好隆でいいよ」
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