零/異能者

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「あの青龍様が直接頼み込むなんて前代未聞。 それに幾つか不可解な点もある。 だから安藤ちゃんと"俺らは"協力することにした』 「そうならそうと先に言ってくれ。 万が一何かあってからでは遅いからな──和泉」 『はははっ……もう手遅れだよ?』 霞千である土方歳三の愛刀及び相方となった少年の渾名は、和泉。本名を和泉守兼定。 位、走獲。職業、刀。 臨偽(リンギ)の次に位の高い、走獲(ソウエ)。 その走獲の中で一、二を争う少年は強者として名が知られている。 「和泉。お前……」 『なんだい、ワトソン君』 驚愕の表情を見せる土方に和泉は何時も通り冗談を交えて返す。 見た目は子供、中身も子供。 だか時折、和泉という少年は老け込んで見えた。 その度に土方は思う。 この少年にも何かしらの思うことがあり、何かしらの秘密を握っているのだと。 「……いや、そろそろ移動するか」 なぁ、どうしてお前はいつも……。 そう言いかけた言葉を飲み込んで行灯の火を吹き消した。
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