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「………凄いですねー」
棒読みで感想を言いつつ、苦笑する安藤。
一同はまたかという様子で安藤と同様苦笑している。
「おお……! お前だけだよ俺にそう言ってくれるのは!!」
明らかに棒読みだというのに何故か原田は嬉しそうに笑顔を見せた。
「左之さん暑苦しい、五月蝿い、近所迷惑。つまり邪魔、消えて」
と同時に一番端に座っていた青年が毒を吐く。
顔にはまだあどけなさが残っており、髪は首もとで結われ肩に垂らしていた。
「……悪かった」
顔を青くさせた原田が間をおいて謝る。
「分かればいいよ」
不機嫌そうな表情から一転、青年の顔には笑みが浮かんだ。近藤と山南は我が子を見るような眼差で二人を見つめている。
沖田、永倉もまたかと笑っていた。
つられて安藤も小さく笑う。
───どうよ!今度は完璧だろ!!
─── 暑苦しい、五月蝿い、迷惑、邪魔。
───二人共喧嘩はよくないよ?
───諦めろ、何時ものことだ。
懐かしい記憶が過ぎる。
聞き覚えのある遣り取りと、見覚えのある光景に胸が痛んだ気がした。
ふいに青年と目が合う。
漆黒に似た瞳には隠せない警戒の色。
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