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少年はこの上ない笑顔で、神々さえもが畏怖し耳を塞いだ祝詞を詠み上げる。
「花散る頃に愛しき君は――――」
男は咄嗟に反応したが、もう、遅い。
時の歯車は無情にも回り出してしまったのだから。
そして男は再び悪鬼に身を落とす。
「───なぁ化け物共、知ってるかい。雪は、循環するんだ。永遠にね」
少年は笑顔のまま、刀身を指先でなぞりそう囁いた。
男の姿は既になかった。
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