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少年は言葉を続けた。
『安藤ちゃんって刀神様命なんだよね。
刀神様って言っても、八代目刀神様なんだけど』
早く仕事を済ませて眠りにつきたいところではあったが、情報の少ない安藤の話の方が大切だと判断した為土方は耳を傾ける。
『人ってさ、なんだかんだ言って自分の利益の為に色々やるもんじゃん?でもね安藤ちゃんは違う。
安藤ちゃんは己の全てを刀神様に捧げている。
溺愛とか執着とかそんなの通り過ぎてね。
周りから見れば異常なんだろうけど、彼にとって刀神様は生きるのに必要不可欠な存在なんだ。
だから、だからね──……』
ここで一呼吸置く。
同時に少年は笑みを消し土方の耳元でそっと言った。
“──これだけは忘れないでほしい。
安藤ちゃんは八代目刀神様の為ならなんでもする”
『ここだけの話、安藤ちゃんはかなり強い。
少なくとも俺なんかよりずっと上』
とんでもない新情報にじわじわと土方の顔が強張っていく。
刀神を補佐する者、霞千に選ばれた者に限り本来の位とは違う位を与えられる場合があるのだが、
少年は臨偽(リンギ)の次に高い──走獲(ソウエ)に任命され、その実力は走獲の中で一、ニを争う程。
四神が許した者のみ入隊出来る朔雅(サクガ)隊に玄武直々に誘われた事もあるらしいが、結局断ったと土方は聞いている。
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