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アリサもフェンリルの秘密主義を知っていたしそれ以上問いつめても無駄だと悟ったのだろう。
カヤリの口調の素っ気なさは半端ではなかった。
やがて4人は無骨な建造物にたどり着いた。正面には巨大なシャッターがいくつも並んでいる。
ここが人類の砦なのだ。
どこかにカメラがあるのだろう、カヤリが手を挙げるとシャッターが自動的に開いた。
5人が中に入るとシャッターはまたひとりでに閉まった。同時に床そのものが下降し始めた。
「地下か」
「ああ、重要施設の大部分は地下にあるのさ。気温や湿度は安定してるし効率よく地熱発電できるからな」
イチイはそのあたりにも詳しいらしく立て板に水の弁舌ですらすらと説明してみせた。
一方カンナは放心状態から脱したようだが今度は顔色が悪くなっていた。
「カンナさん大丈夫ですか?」
アリサは心配そうに尋ねた。
「大丈夫です、うぷっ。…………すいません私このエレベーター苦手で」
どうやら酔っていただけらしい。
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