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アナグラのエントランスにて。
「ねぇアリサ聞いてる? 極東支部にまた新型が来るって」
「それくらいとっくに知ってます。だから私達ここに呼ばれたんじゃないですか」
つんと言い返したのは赤い服に身を包んだ少女アリサ・イリーニチナ・アミエーラだ。
ニット帽を被った少年藤木コウタは不満そうに口をとがらせた。
「なんだよその言い方はよお。もうちょっと何かリアクションとか……」
「はいはいはいそこまで。もうすぐ来るんだからそれでおしまい。な?」
二人の間に割って入ったのは極東支部第一部隊隊長の朱鷺山イチイだ。
「イチイもなんか言ってやれよ! ちょっとさっきのはヒドイだろ」
「リーダーはあなたに呆れてるんですよ」
アリサはそう言い放つと髪をさらりと後ろへ払った。
現在エントランスにいるのは第一部隊の三人。そしてその後ろで小さくなっている夏目カンナのみである。
特に避けているつもりはなかったがわざわざ会話に加わろうとも思わなかった。
カンナは昔から人見知りだったのだ。
「そういえばカンナって今日来るヤツのパートナーに選ばれたんだよね?」
そんなカンナにイチイが声をかけた。
「ええ」
「どんな人が来るかもう聞いてる?」
「いえ、まだ何も聞いてないです」
「知らないのか。誰か知ってる?」
イチイは第一部隊の二人に問いかける。
答えたのはアリサだ。
「たぶん誰も知らないと思いますよ。私も支部長に聞いたんですけど、まだ明かせないって」
その時エントランスに警報音が鳴り響いた。
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